視覚障害者の信号横断や歩行を支援する新しい技術を集めてみました

 視覚障害者の移動を支援する手段として多く用いられているのがスマートフォンです。
 スマートフォンは単体で様々なセンサーとコンピュータが一体化しているので、アプリケーションを開発することで比較的安価に様々な機能を持たせることができるからです。
 地図データを用いるナビゲーションアプリや、カメラを用いて障害物や信号情報を知らせてくれるアプリがこれにあたります。
 一方、スマートフォンには、屋内ではGPSが使えないなど限界があるため、AIを用いたり専用のコードやタグ、ビーコンを設置して鉄道駅や商業施設内でも案内する試みがなされています。
 もちろん、スマートフォンを使わない独自の支援方法も様々に開発されています。
 ここでは、既に一般利用が開始されているものから、開発段階のものまでご紹介いたします。何か新しい情報がありましたら、連絡フォームから是非情報提供下さい。

スマートフォンアプリなどデジタル技術を応用した物

    複数のカデゴリーの機能を持っているものもあります。(五十音順)

【信号認識・情報提供アプリ】

EYECAN(アイキャン、ベータ版)
株式会社ZMP
 自動運転技術を使うことで、目の見えない方の自立歩行を目指しています。現在「信号の色を認識し、伝える機能」を体験できる「EYECAN プライベートβ版」をリリースしています。
視覚障がい者歩行支援アプリ Eye Navi アイナビ
ダイヤル・サービス株式会社、株式会社コンピュータサイエンス研究所
 道案内と障害物検出、歩行レコーダー機能を備えた歩行支援アプリ。目的地までの方向や経路、周辺施設、進路上の障害物、歩行者信号の色、横断歩道、点字ブロック等を音声で知らせてくれます。歩行時は白杖などを使用し安全を充分に確認して利用する必要があります。
歩行者用信号認識アプリ OKO(オコ)
AYES INC
 スマートフォンのカメラを用いて歩行者用信号機の色が、赤か青かを音と振動で知らせてくれるアプリです。カメラの向きが信号機から外れると音が出なくなることを利用してある程度方向を知る手がかりにもなります。認識精度は定評がありますが、夜間や雨天時は認識精度が下がります。アプリにのみ頼るのではなく、自動車の走行音や周囲の状況と合わせて判断する必要があります。
 2024年、目的地を入力し経路や施設の情報を検索する機能が追加されました。
 従来の信号検出のみの画面が起動するようにするには、こちら
をご覧下さい。
信GOアプリ
日本信号株式会社
 信GOは高度化Pics信号機の電波を受信して、道路の方向と信号情報を音声と振動で知らせてくれるアプリです。また、対応する信号機では青信号を延長することもできます。
 カメラの映像を解析するのではなく、信号機からの電波で動作するので信号の色を間違うことはありません、ただし、渡ろうとする方向と交差する方向の信号情報が混在してアナウンスされるので注意して聞き取らなければ鳴りません。今後の改善が期待されます。

【ナビゲーションアプリ】

視覚障がい者歩行支援アプリ Eye Navi アイナビ
ダイヤル・サービス株式会社、株式会社コンピュータサイエンス研究所
 道案内と障害物検出、歩行レコーダー機能を備えた歩行支援アプリ。目的地までの方向や経路、周辺施設、進路上の障害物、歩行者信号の色、横断歩道、点字ブロック等を音声で知らせてくれます。
あしらせ(Ashirase )
株式会社Ashirase
 スマートフォンアプリと靴に装着した振動デバイスで進行方向を知らせてくれるユニークなナビゲーションシステムです。音声によるナビゲーションも準備されています。
音声ナビ・アプリ「ナビレク」
株式会社アメディア
 ナビレクは独自に作成したガイドデータをスマホのGPSで追跡して進行方向や横断歩道、曲がり角などを振動と音声で知らせてくれるアプリです。
 ガイドデータはナビ広場に公開されています。新しいガイドの作成はリクエストすることで作成されます。また、歩行しながらアプリで録音を作成することもできます。

【独自のコード表示を利用するアプリ】

shikAI
リンクス株式会社
 「shikAI」のQRナビゲーションシステムは、駅構内の点字ブロックに表示したQRコードを、専用アプリで読み取ることで、現在地から目的地までの正確な移動ルートを導き出し、音声で目的地までナビゲートするシステムです。
コード化点字ブロック
金沢工業大学松井くにお研究室
 株式会社 システムギアビジョン
 「コード化点字ブロック」は、通常の点字ブロックの25個ある点に色をつけたもので、これをスマートフォンのアプリで読み込むことで、音声情報を提供するものです。視覚障がい者の方に周囲の情報を提供できるほか、観光客や外国人に向けて観光情報を提供することができます。
ナビレンズ
株式会社アクセスムーブコンフォート
 ナビレンズは独自のカラータグ(二次元コード)を専用アプリで読み込むことにより、リンクされた様々な情報を音声で案内するシステムです。
 更に、長距離(A4さいずなら56m)離れても認識でき、正確な距離と角度を知らせることで歩行を支援してくれます。

【遠隔サポートアプリ】

Be My Eyes(ビーマイアイズ)
Be My Eyes
 スマートフォンのカメラ映像を見てボランティアが視覚情報を提供してくれる遠隔サポートアプリです。歩行に直接関係ないようですが、建物の入り口が分からないとき、駐車場に迷い込んでしまったなど緊急時には活用できます。
 また、BeMy AI タブが追加され、カメラ映像をAIが解析して情景を細かく伝えてくれるサービスが追加されています。

視覚障がい者歩行支援アプリ Eye Navi アイナビ
ダイヤル・サービス株式会社、株式会社コンピュータサイエンス研究所
 道案内と障害物検出アプリとしてリリースされていますが、将来的にカメラ映像を用いて遠隔サポートサービスを提供する予定とのことです。
あいこサポート
株式会社プライムアシスタンス
 スマートフォンのカメラで写した映像や位置情報から専門のオペレーターが視覚情報を伝えてくれる、有料の沿革サポートサービスです。映像と同時に地図情報を確認できるところが強みです。また、商業施設や行政機関などにフリー襟やサービスの展開を開始しています。
袖縁
株式会社 袖縁
 袖縁はスマホのアプリを通して、困っている要支援者と支援者をつないで課題の解決をお手伝いするものです。要支援者と支援者は事前に登録することでサポートがスムーズに行われるよう工夫されています。

【その他のデジタル機器】

AIスーツケース
一般社団法人 次世代移動支援技術開発コンソーシアム 清水建設株式会社
 AIスーツケースは、自律走行するキャリアケース形デバイスで、視覚障害者を目的地まで誘導することを目指しています。現在屋内から屋外の実験へとステップアップしています。
白杖歩行支援ツール スマートウオーク
ダイハツ工業株式会社
 スマートウォークは首かけ式のデバイスで、カメラで点字ブロックや障害物を検知して音声でお知らせしてくれます。スマートフォンを使用しない専用のデバイスで現在開発中です。
スマートグラス シンプラス
株式会社 Raise the Flag
 シンプラスはメガネ型のデバイスで、カメラなど複数のセンサーを利用して周囲の情報を利用者に伝えます。慣れれば壁や障害物、テーブルの上のお皿やコップも見分けられるようになると言います。現在開発が進行中です。

その他(デジタル機器以外)

誘導板 パームライン
有限会社テイクス
 パームラインは幅の狭い誘導板です。粘着式で床に施工できトイレの誘導などに使用できます。幅は2種類あります。
誘導マット(歩導くんシリーズ他
錦城護謨株式会社
 「歩導くん」はゴム製の四角いマットで連続して敷設することにより足裏感覚で点字ブロックの代わりに視覚障害者を誘導します。また幅の細いトイレ用のラインガイドレットなど床に敷設する製品を開発しています。
UDフロアシステム
田島ルーフィング株式会社
 UDフロアシステムは屋内用の視覚障害者誘導用タイルです。低突起でありながら白杖での検知性が良く、つまずきにくく、高齢者、ベビーカーなど全ての人に優しく美しいユニバーサルなシステムです。